日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2C-p2
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口頭発表
スパゲッティの茹で条件におけるリン含有量の変化
*伊藤 直子今井 優菜黒田 晴菜藤野 友綾山崎 貴子岩森 大渡邉 榮吉
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抄録
【目的】慢性腎臓病透析患者がリンを過剰摂取すると高リン血症から異所性石灰化、骨軟化、心疾患など、病態に悪影響を与えるため、リンは、これらの患者にとって最も注意すべき栄養素である。リンは一般にタンパク質性食品に多く含まれるが、多くの量を食する主食のリン含有量を調理の工夫により減少させることができれば、患者にとって有用である。そこで今回われわれはスパゲッティの茹で条件を変えることにより、リン含有量をどの程度減少させることができるかを調べた。 【方法】試料は、市販のスパゲッティ(以下麺とする)(直径1.6mm、パッケージ記載の標準茹で時間7分、標準茹で水量100gあたり1L)を用い、茹で条件を変えて調理した。リン量は、試料を乾式灰化し、塩酸抽出後、バナドモリブデン酸吸光光度法により求めた。 【結果】標準茹で時間において、茹で水の量、茹で水のpH、茹でる際の食塩添加の有無の違いによってリン含有量に差は見られなかった。また、茹でる前に麺を1時間水に浸漬させても浸漬なしの場合と変わらなかった。茹で前後のリン含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)とほぼ一致した値が得られた。一方、茹で時間を変えた場合、時間が長くなるに従って麺のリン含有量は減少し、茹で水のリン含有量は増加したが、長時間茹でると、麺のリン含有量は増加した。茹で時間が長くなるにつれて、茹で水の量は減少していったため、茹で水に溶出したリンが麺に付着したと考えられる。このため、茹で終えた麺を湯で洗浄したところ、リン含有量には減少が見られた。これらより、茹で時間を標準より長めにし、食す前に湯で洗浄することで麺のリン含有量を減少させることができることが明らかとなった。        
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© 2016 日本調理科学会
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