抄録
【目的】これまでに食用ゴマの劣化臭についてはゴマに含まれる脂質の酸化により発生することが報告されており、原料ゴマの色種、加工方法により程度が異なることが知られている。効率的な酸化劣化制御を行うためにこれらの違いを明確化するとともに、原因となる成分特定を行った。さらに長期品質保持に役立てるため、劣化臭発生メカニズムの推定を試みた。また、劣化臭制御法の1つとして、燻製処理の効果について検討した。
【方法】金ゴマ、白ゴマ、黒ゴマのいりゴマとすりゴマ、そしてゴマの皮を試料とした。密封性の高い缶に食用ゴマを採取し、缶中の空気を酸素ガスで置換し、密栓後、55℃で保存し試料の酸化を促進した。一定期間保管後のサンプルの劣化臭を官能評価により評価した。劣化臭の原因成分の推定は缶内の気相成分をHSSE法により捕集後、GCMS分析により行った。燻製に関しては、食用ゴマを焙煎後燻製し、上記と同様方法で評価した。
【結果】官能評価において色種では金ゴマが、工程別では、いりゴマがすりゴマより劣化臭の発現が早い事が判明した。また、ゴマの皮の有無では、ゴマの皮が優先的に反応し、劣化作用に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。におい嗅ぎGCMSによる分析の結果、ゴマに含まれる脂質の主要成分であるリノール酸の酸化分解物と考えられるヘキサナール、2,4-デカジエナールの増加が大きく、焙煎臭であるピラジン類は減少が大きい事が判明し、官能評価の結果と相関性があった。ヘキサナールは原料中では多く、焙煎する事によって減少し、酸化劣化することで再び増加する事が確認された。燻製はヘキサナール、2,4-デカジエナールの増加を抑え劣化臭の抑制に効果があることがわかった。