日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1P-37
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ポスター発表
NHKラジオ「女性教室」(1950〜1965年)で紹介された食生活
*高橋 洋子
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抄録

【目的】戦後の混乱が収束して高度経済成長に向かった時期に,衣食住等の家庭生活に啓蒙的な役割を担ったものの一つとして,NHKラジオ講座「女性教室」(1950〜1965年)に着目した。本報では,「女性教室」のうち,食生活をテーマした講座を対象とし,そのテキストに掲載された広告を調べ,今日の食生活が形成された過程を考察する一助とした。

【方法】180ケ月にわたる「女性教室」の月次テーマを調べ,食生活を月次テーマにした講座として44ケ月分を選出し,その月次テキストの収集を試みた。収集できた月次テキストを調査し,そこに掲載されている広告を分析した。あわせて,当時の家計調査年報を用いて,広告に掲載されていた食品の購入量の推移を調べた。

【結果および考察】(1)調査対象としたテキスト44冊のうち,43冊を調査できた(古書購入41冊+資料館で閲覧2冊)。(2)1954年以降に刊行されたテキスト41冊に,食生活に関連する商品(食品・調理器具・調理家電・台所設備など)の広告が掲載されていた。(3)単独の企業が掲載した広告のほか,業界団体(油脂・味噌・マーガリン・精麦・冷凍魚など)が掲載した広告もあり,ともに商品の特長を訴求する広告が特徴的であった。(4)家計調査と照合すると,頻繁に広告が掲載されていたハム・ソース・バター・マーガリン・ケチャップ・即席麺について,「女性教室」放送開始から放送終了後数年の間に,世帯当たりの購入量が急増した時期がみられた。以上から,食生活の洋風化・合理化などが進行した時期に,ラジオ講座の内容のほか,テキストに掲載された広告からも,様々な情報が読者らに伝えられ,何らかの影響を及ぼした可能性がうかがわれた。

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