主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】食育においては,調理の学習と実践が,調理技術の向上だけでなく,食に対する意識の向上を促し,食生活を好ましい方向に導く引き金になると考えられる。一方,最近のソーシャルメディアの発達は,調理に関わる情報収集にも変化をもたらしている。本研究では,若い世代を対象とした食育を進めるうえでの資料とするために,大学生の調理の実態と意識について調査した。
【方法】滋賀大学教育学部学生を対象に2019年1月から4月に質問紙調査を実施した。有効回収票(率)は420票(93.3%)であった。対象者のうち,自宅生は66.3%,自宅外生は33.7%であり,自宅生の96.4%が家庭での主な調理者は本人以外である一方,自宅外生の96.5%が家庭での主な調理者は本人であった。なお,男性は40.6%,女性は59.4%であった。
【結果および考察】調理頻度は自宅生の約4分の3が月数回以下で,全くしない者も4分の1いたが,自宅外生ではほとんどは週1回以上であり,ほぼ毎日という回答は3分の1以上であった。インターネット上の料理レシピのサイトやアプリのことを知らないと回答した学生は1%で,使わないと回答したのは約4分の1であり,その中の8割は自宅生であった。自宅外生の約6割は料理レシピのサイトやアプリを週1回以上利用しており,料理の頻度との間に正の相関がみられた。炊飯やゆで卵,卵焼きは多くができると回答し,2002年の同様の調査結果と比較して,みそ汁,ほうれん草をゆでるをできるとする回答が多かった。できたらよいと思う調理では,2002年は下位にあった焼き魚が上位に,ゆで卵や焼き飯が下位に位置づけられた。食生活の変化や最近の学校などでの食育の影響が考えられる。