日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-2
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ポスター発表
冷凍とろろ(ダイジョ・ツクネイモ)の冷凍保存中の品質変化に関する研究
*近藤 寛子石井 香代子高橋 知佐子菊原 加奈絵渕上 倫子
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抄録

【目的】 本研究の目的は,ダイジョ,ツクネイモのとろろを1〜6か月間冷凍保存後,解凍し保存期間中の外観および食味の変化を比較し,ダイジョの調理特性を検討することである。

【方法】 実験1:ダイジョ,ツクネイモを剥皮後5%食酢液に30分間浸漬し,すりおろした。とろろは糖度,pH,色差を測定し,-30℃のバイオメディカルフリーザーで保存した。1,2,3,6か月間経過後,20℃のインキュベーターで解凍し糖度,pH,色差を測定し,官能評価を行った。官能評価では,粘り,甘味,えぐ味について冷凍解凍したツクネイモを基準とし,比較した。

実験2:ダイジョのえぐ味成分として考えられているホモゲンチジン酸について,高速液体クロマトグラフィーを用い,定性を行った。

実験3:10%,35%,50%黒糖を添加したダイジョの冷凍とろろを使用し,レシピを作成した。

【結果および考察】 実験1:ダイジョとツクネイモのとろろを6か月間冷凍後,解凍しても,両者とも著しい褐変はなかった。色差の測定結果ではダイジョでは3か月経過後よりa値がわずかに増加した。一方,ツクネイモは6か月経過後にa値がわずかに増加し,ダイジョの方がツクネイモより褐変が早く起きた。冷凍,解凍とろろの官能評価では,ダイジョはツクネイモに比べて,粘りと甘味が低く,えぐ味が強かった。保存期間による影響はなかった。

実験2:ダイジョ,ツクネイモの冷凍とろろのホモゲンチジン酸含量は検出限界以下であった。

実験3:ダイジョは調理によってダイジョ独特の青臭さ,えぐ味,甘味が消えることがわかった。また,冷凍とろろを料理に使用する際,水分や砂糖量を特に減らす必要はなく,通常通りの添加量でよいことがわかった。

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