日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: P-k25
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
大阪府の家庭料理 副菜の特徴
*原 知子阪上 愛子澤田 参子東根 裕子八木 千鶴山本 悦子
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キーワード: 副菜, 家庭料理, 大阪府
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抄録

【目的】平成24年から実施している日本調理科学会「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」研究において,大阪府にて聞き書きした家庭料理における「おかず」より,野菜・海草・芋・豆を主とする副菜の特徴を考察する。

【方法】調査地域は,大阪府行政区分および日本の食生活全集「聞き書き大阪の食事」を参照し,泉南・泉北・南河内・中河内・北河内・大阪市・三島・豊能の8地域において,その土地に30年以上暮らしている27名を対象に聞き書きを行った。調査時期は2013年11月〜2015年9月であった。調査方法等は学会ガイドラインに則った。

【結果および考察】昭和30〜40年代の日常食は,米どころの豊能と北河内を除き,朝は粥や入れ粥に漬物または具沢山の味噌汁,農村部では昼に飯を炊き,野菜の煮物・汁・漬物,夕食には焼き魚がつくという例が多かった。大阪中心部の商家や勤め人家庭では,夕食に飯を炊き主菜もそろえて食したが,朝は入れ粥と漬物であった。すなわち漬物と野菜の煮物が主なおかずであったともいえる。食材は自家や近隣で収穫される野菜や山菜等を用い,短収穫期や多収性の食材については家庭で佃煮や漬物にして保存,古漬け料理も多く,糠床の蓋に使用した大根葉も菜飯に使うなど,食材全てを活用していた。料理例としては若ごぼうと揚げの煮物,蕗の青煮,ずいきの煮物,じゃこごうこ,じゃこまめ・ごより,季節の素材(筍・玉ねぎ・冬瓜・茄子・南京・豌豆・松茸・里芋など)・メイ・豆の煮物に加え,きゅうりと鱧皮・ちりめん・蛸の酢の物,和え物,お浸し,具沢山の味噌汁が代表的な副菜であるが,主食(糧飯)に副食素材を用いる例も多い。これらの野菜のうち若ごぼうなどは近年ブランド化されつつある。

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© 2019 日本調理科学会
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