主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】グルテンフリー米粉パンは,小麦粉パンに比べて比容積が小さくパンの硬化速度が速いため,テクスチャー変化が大きいことが課題である。パンの硬化は,保存中におこる澱粉の構造変化が要因の一つと考えられており,アミラーゼ添加によるテクスチャーの改善や,オリゴ糖添加による保水性の保持等が報告されている。しかし,アミラーゼ以外の糖質分解酵素の影響や,オリゴ糖との併用効果については不明な点が多い。そこで本研究では,2種類のオリゴ糖と10種類の糖質分解酵素を用い,グルテンフリー米粉パンの製パン性に及ぼすオリゴ糖と酵素の併用効果について検討した。
【方法】オリゴ糖試料は,市販のマルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖を,糖質分解酵素は市販のα-およびβ-アミラーゼ,ペクチナーゼ,キシラナーゼ,セルラーゼの粗酵素標品を用いた。グルテンフリー米粉パンは,米粉,水,砂糖,食塩,オリーブオイル,ドライイーストを基本材料とし,オリゴ糖および酵素無添加のパンをコントロールとした。オリゴ糖置換パンは,砂糖の一部を各オリゴ糖で置換し,各酵素添加の有無による比較を行った。製パン性は,パンの内相と比容積,焼成後1日および2日間保存したクラムのテクスチャー解析および糊化度測定から評価した。また,各バッター生地を用いて,発酵体積試験および粘度測定を行った。
【結果および考察】オリゴ糖置換によって製パン性は向上し,酵素を添加することでさらに比容積が大きく,保存による硬さの変化も小さくなることが示唆された。各酵素間で比較すると,アミラーゼ添加よりペクチナーゼおよびキシラナーゼ添加生地の粘度が高く,クラムの硬さも低値になる傾向が示された。