日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2A-6
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口頭発表
微細化食品素材の増粘効果に関する研究
*谷澤 容子藤井 友菜松宮 健太郎松村 康生香西 みどり
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キーワード: 微粉末, とろみ, 農産食品
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抄録

【目的】近年微細化技術により数10μm程度まで粉砕が可能になった。微細化した穀類,乾燥野菜・きのこ微粒子の増粘効果に着目し,とろみづけ調理・加工への利用可能性について検討することを目的とした。

【方法】玄米,精白米,トウモロコシ,大豆,カボチャ,ゴボウ,レンコン,干し椎茸を湿式・乾式粉砕機により平均粒子径5〜70μmに粉砕した。各4〜12%懸濁液を95℃,15min撹拌加熱し,とろみ試料を得た。20,40,60℃の流動特性をE型回転粘度計(50s-1)で測定し,とろみ試料の粘度の温度依存性をアンドレードの式で表した。調味料,冷蔵(5℃),冷凍(-20℃)保存によるとろみ試料への影響を調べるため,遠心分離(3000×g)し離水率を測定した。比較対照の澱粉糊液には一般調理に用いられている片栗粉,コーンスターチを用いた。

【結果および考察】大豆,ゴボウ以外の粉末は8〜12%でとろみづけに用いることができ,片栗粉4%,コーンスターチ6%に相当する粘度が得られた。いずれのとろみ試料も粘度は,濃度と直線関係がみられたが,澱粉糊液よりも粘度増加係数は小さかった。また,食塩や食酢添加により,澱粉糊液の粘度低下が顕著であったことに対し,影響を受けないまたは受けても緩やかであった。冷蔵および冷凍による流動特性値の変化も米,干し椎茸は受けにくかった。以上より増粘剤利用の可能性が示唆された。粘度1000mPa・s時の粉末濃度を目的変数とし,デンプン含量,食物繊維含量,たんぱく質含量(食品成分表)に加えて粒子径,見かけの密度を説明変数とした重回帰分析を行ったところ,デンプン含量と微粒子の見かけ密度を説明変数とする重回帰式が得られた(R2=0.933)。

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