主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】学生は献立作成における食材の栄養量,食品構成,調味割合などの理解の不足が指摘されている。また献立作成能力と料理経験の豊富さとには相関があることが認められているが,献立作成能力と調理技術の習熟度との直接的な関連性についての研究は少ない。そこで,給食管理実習における事例を用いて献立作成能力と調理技術との間の関連性について調べた。
【方法】献立作成の条件とテーマを決め,クラスを6班(1班は6〜7人)に分け,班ごとに献立を作成した。献立は,試作,試食,改良すべき事項の検討,献立の修正の過程を数回繰り返して完成させた。調理技術の評価は,文部科学省後援事業家庭料理技能検定の実技基準2〜3級を想定し,それに相当する「切る,むく,おろす」の習熟度を評価した。
【結果および考察】調理技術は班ごとの有意差はなかった。班ごとに話し合って献立を作成し,試作,試食して改良する事項を検討し,献立を修正する作業を数回行って献立を完成させた。このように献立の修正に至るプロセスを繰り返すことで,献立の完成度を高めることができた。調理技術の評価が高かった班は,最初に作成した献立の完成度が高く,この時点ですでに調理した料理の状態を想像できていたと考えられた。最初の献立の評価が低かった班の調理技術の評価は低かった。その中で献立の完成度と調理した料理の評価が高かった班は,班のリーダーの調理技術が高く,献立の作成に当たって話し合いを主導して完成度を高めたと思われた。グループ学習の話し合いで献立を作成し,調理して料理を完成させる体験により,献立作成能力は班全体の能力が向上するとともに,学生個々の献立作成能力も向上すると推察された。