主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】近年インターネットのレシピ投稿サイトの利用者が増加している。レシピ投稿サイトでは,食材のほか,調理の手法,調味料,「簡単」等のキーワードによる検索もできることから,検索データには利用者の意識が反映されやすいと考える。そこで本研究では,日本におけるジャガイモの普及に関わる要因を探る研究の一環として,現在のジャガイモ料理の特徴をレシピ投稿サイトの検索動向から明らかにすることを目的とした。
【方法】料理レシピ投稿・検索サービス 「クックパッド」で検索されたデータの分析ツール「たべみる」を用いて,2019年における「ジャガイモ」の検索頻度を,年度,月,地域および年代別に調査した。また「ジャガイモ」と共に検索された単語を分析した。「里芋」および「さつまいも」についても同様に調査し,比較検討をおこなった。
【結果】「里芋」は年末にすべての世代と地域において検索頻度が上昇し、キーワードの上位をお節や煮しめが占めたことから,里芋が正月のハレ食の材料として広く定着していることが認められた。「さつまいも」は秋に検索頻度が著しく上昇し,菓子・おやつの材料としての検索が全世代で多くみられた。これに対して,「ジャガイモ」は季節変動が少なく,かつ検索頻度は他のイモより高かった。組み合わせられた単語には世代による違いがみられ,生活様式や嗜好に応じて様々な用途に用いられる食材であることが示唆された。また北陸地方や九州地方では、合わせる食材や調味料に特徴がみられ、調理法に地域性も認められた。この結果は,ジャガイモが多様に調理されて、現在の食生活に浸透していることを示すものと考える。