日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-97
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ポスター発表
包丁技術習得に関する研究
−添え手の有無による動作解析−
*長谷川 紘美柳沢 幸江
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抄録

【目的】包丁技術の習得について、動作解析を用いて習得の経緯を客観的に明らかにしたいと考えている。本研究では調理頻度や意識の異なる者を対象者に、添え手あり、なしでの包丁動作分析を行い、客観的に評価方法の検討を目的とした。

【方法】和洋女子大学教職員33名(男性9名、女性24名)を対象にし、長さと太さを調整したきゅうりを用いた輪切りの薄切りを実施した。包丁には超小型無線生体モニターマイクロDAQターミナル intercross-413(インタークロス社製)を取り付け、動作解析を行った。分析項目は、20秒あたりの包丁のサイクル、上下・前後の加速度を分析した。切断物に関しては薄切りの枚数、厚みを分析した。加えて調理頻度や得意感をアンケート調査した。

【結果・考察】20秒間のきゅうりの薄切りの枚数は、対象者の調理頻度より、本人の自己評価である得意・不得意感の方が相関が高いことが示され、対象を「得意群」、「不得意群」に分類し分析した。得意群の添え手あり・なしの比較では、添え手ありの方が1サイクルの時間が有意に短く、加速度が大きいことが認められた。一方、不得意群の添え手あり・なしの比較では包丁の動きに明確な差が認められなかった。また、得意群の添え手のあり・無しは、きゅうりの枚数・厚みに有意差が認められたが不得意群は有意な差が認められなかった。以上の結果から、薄切りにおいて得意群は添え手をすることで包丁動作がコントロールされている事が再確認され、不得意群は添え手をすることの効果が認められなかった。以上の指標を用いることで、包丁技術の習得を客観的に評価することが可能になると考えられる。

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