日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k18
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
長野県の家庭料理 行事食の特徴
−地域性豊かな四季折々の行事の食−
*中澤 弥子吉岡 由美高崎 禎子小木曽 加奈小川 晶子
著者情報
キーワード: 長野県, 地域性, 産物
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、行事食について分析した。本発表では、その特徴を表し、昭和30年頃から長野県の各地方で大切に作り継がれている行事食について報告する。

【方法】平成25年〜28年を中心に全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。

【結果】長野県には、地域で生産される季節の食材や保存食を利用した特色ある郷土料理が多く、地域や家庭によって代々受けつがれている行事食も多く残っていた。ハレの食材として、年取り魚の鰤や鮭、鯉、身欠き鰊など魚介類も利用されてきた。主な行事食は、年取りや正月料理として、鰤雑煮{中信・南信}、ひたし豆{東信}、鮭の粕煮{東信}、王滝なます{木曽}、しぐれ煮{下伊那}が、道祖神には、ねじ{上田市真田町長戸沢}、涅槃会には、やしょうま{北信}、ひな祭りには、からすみ{木曽}、草餅{全県}、春の彼岸には、ぼたもち{全県}、端午には、ほお葉巻{木曽}、田植えには、田植えの煮物{全県}、七夕には、小豆ほうとう{松本}、ナタまんじゅう{北安曇}、盆にはおやき{北信・中信}、えご[いご]{北信・中信}、こりんと{北信}、干し揚げの煮物{松本}、のたもち{諏訪}、十五夜には、おからこ{上伊那}、秋の彼岸には、おはぎ{全県}、えびす講には米粉のおやき{上伊那}、冬至には、かぼちゃだんご{南安曇}、祝い事には、笹ずし{北信}、鯉のうま煮{全県}、大平{木曽・南安曇}、五平餅{木曽・南信}、仏事には、おにかけ・おとうじ{北信}、冠婚葬祭には、寒天寄せ{諏訪}、大根引き{長野市鬼無里}、いもなます{北信}などである。

著者関連情報
© 2021 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top