日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k29
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
奈良県の家庭料理 行事食の特徴
−行事食にみる食文化の特徴−
*島村 知歩喜多野 宣子志垣 瞳三浦 さつき
著者情報
キーワード: 家庭料理, 奈良, 行事食
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】伝統的な地域の料理が親から子へ伝承されにくい傾向にある現在、次世代に伝え継ぐ家庭料理を記録し、再現できるように、次世代に伝えたい、伝えることに意義があると思われる家庭料理を選択・記録し、広く社会に公開することより、家庭のみではなく、教育現場でも利用でき、次世代へ伝え継ぐものとなるものを提案するため、日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』として、全国の都道府県ごとに各地の家庭料理について文献資料からリストアップし、聞き取り調査を行った。家庭料理の成立と変容、食事での位置づけ、調理・加工法やその要点、文化の特性などについて整理・考察した。

【方法】各地域の自然環境の中から育まれた食材を中心とした日常食または行事食などで、1960〜1970(昭和30〜40)年頃までに定着した地域の郷土料理を「家庭料理」として定義し、平成24〜26年度に奈良県の9地域(奈良市・天理市・大和高田市・大和郡山市・山辺郡山添村・宇陀市室生村・葛城市・吉野郡下市町・吉野郡下北山村)において聞き取り調査を行った。今回は、家庭料理のうち行事食をとりあげた。

【結果】奈良県の家庭料理の行事食として、正月には雑煮、柿なます、えいの煮こごり、お盆には七色おあえ、そうめん、祭りや祝い事の際には柿の葉ずし、里芋ご飯、はもの焼き物、えその味噌漬け焼き、かしわのすき焼きなどが食べられていた。農事の節目には小麦もち、ふき俵なども食べられていた。行事食に欠かせないすし・もちだけでなく、地域でとれる野菜や芋、果物、小麦などを活用した料理や、行事に合わせて普段は食べない魚・肉などをご馳走として食べる料理が多くみられた。

著者関連情報
© 2021 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top