主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】伝統的な地域の料理が伝承されにくくなっている現在、大分県の次世代に伝え継ぐ家庭料理を暮しの背景とともに記録し、家庭料理の基礎研究とするだけでなく、家庭や教育現場で利用可能な資料とすることを目的とした。
【方法】本研究は、平成24〜26年度に大分県内8地域における昭和35〜45年頃までに定着していた家庭料理について、60歳以上を対象とし聞き書き調査を行なった。次に大分県で食されていた家庭料理のうち、特に行事食とその特徴について検討した。
【結果】大分県は九州の北東部に位置し、東側は遠浅の瀬戸内海とリアス式海岸の豊後水道に面している。西側には九州山地があり、その間に平野や盆地が点在している。自然が豊かなため新鮮で豊富な食材に恵まれていて、日常食は自給自足を基本としていた。大分県の行事食は2つに分類される。
①身近にある食材に時間と手間をかけたもの・・・「物相ずし」、「みとりおこわ」、「鰺の丸ずし」、「くじゃく」、「がめ煮」、「あいまぜ」、「おひら」、「酒まんじゅう」、「寒天」、「けんちん」
②大切に育てていたものや貴重品を材料にしたもの・・・「鶏飯」、「鯖ずし」、「鯛めん」、「たらおさ」、「いぎす」
内陸部にあるくじゅう高原では、大切に育ててきた鶏を使って「鶏飯」や「鶏汁」にしてお客様をお迎えした。「たらおさ」は、北海道産の真鱈のえらと胃の乾物を材料にした日田を中心とした地方のお盆の料理である。
どの料理も心を込めて丁寧に時間をかけて作られていた。