主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】精米過程で生じる米糠に含まれる有用成分を高齢者の健康増進に役立てることを目的に、米糠粉末を添加したパンの栄養機能について、米粉を添加したパンと比較検討するとともに、米糠粉末への置換割合が製パン性に及ぼす影響を調べた。
【方法】ハイスピードミルを用いて米糠を粉砕後、目開き0.3 mmの篩を通して米糠粉末を調製した。次いで、小麦粉重量の20%を米粉に置換したパンを基本として、米糠粉末の含有量が0%、10%および20%になるように米粉から米糠粉末に段階的に置換したパンを試作し、アミノ酸分析計によりそれらのパンのたんぱく質構成アミノ酸含有量を測定し、アミノ酸スコアを算出した。また、試作したパンの比容積、硬さ、凝集性、色度を測定するとともに官能評価によって嗜好性を調べた。
【結果】アミノ酸組成によるたんぱく質量は試料100 gあたり、米糠粉末0%、10%および20%添加パンで8.16 g、8.63 gおよび9.21 gであった。また、アミノ酸スコアはそれぞれ53、55および60であり、いずれもリシンのみが制限アミノ酸となっていた。米糠粉末を添加したパンの比容積は米粉を添加したパンよりも大きくなる傾向がみられ、米糠粉末20%添加パンは米糠粉末0%および10%添加パンよりも有意に大きな値を示していた。また、硬さに関してはばらつきが大きく、有意傾向を見出すことが出来なかったが、凝集性は米糠の添加率が高くなるほど小さくなる傾向がみられた。色調は、内相および外相ともにL*値では大きな差は認められなかったが、a*値は米糠粉末の添加割合が高いほど大きな値を示していた。官能評価は総合評価で米糠粉末20%添加パンの評価が最も低くなったが、0%および10%添加パンの間での有意差は無かった。