日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-64
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ポスター発表
酒粕の添加(砂糖置換)が蒸し菓子(松風)の物理特性および食嗜好性に及ぼす影響
鳥居 優理香*村上 陽子
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抄録

【目的】酒粕は,日本酒の製造過程で生成される副産物である。特有の風味を有し,味が良いため,昔から甘酒や粕漬けなど様々な料理に利用されている。近年の食の洋風化に伴い,酒粕の生産・消費量の減少,および,家庭における和食の調理機会の減少により,伝統的な食文化の衰退の危機が叫ばれている。これまで,著者らは酒粕の利用拡大と食文化の継承を目的として,蒸し菓子(松風)に酒粕を添加し,物理特性や食嗜好性について検討を行ってきた。その結果,酒粕添加により,松風の甘みが強くなることが明らかとなった。そこで,本研究では,甘味料の代替としての可能性を探るために,酒粕の添加(砂糖置換)が松風の物理特性および食嗜好性に及ぼす影響について検討した。

【方法】酒粕は,砂糖の重量に対して10~50%を置換して添加した。調製した松風について,膨化率および保形率,卓上物性測定器を用いて硬さ,凝集性,付着性,色彩構成(L値,a値,b値),水分含量を測定した。官能評価は識別・嗜好試験を行った。

【結果・考察】酒粕の添加により,松風の硬さは有意に増加した。色彩構成は,酒粕添加に伴い,赤みや黄みが増した。識別試験において,0%松風と10~40%松風の間で有意差はみられず,10~40%松風は0%松風と同等の甘さを呈することが明らかになった。総合評価では,10~20%酒粕を添加したものが好まれた。今後は,種類の異なる酒粕添加が松風に与える影響を検討していく。

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