主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】食用油脂や油脂が多く含まれる食品を長期間保管すると風味が悪くなり、さらに劣化が進むと不快臭や刺激臭を発する。食用油脂については、食品衛生法において酸価(AV)や過酸化物価(POV)などの規格基準や製造・取り扱いに関する指導要領が定められており、油脂劣化の指標としてPOVが用いられている。公定法の過酸化物価測定方法(滴定法)は実験室内での試験・検査を前提としているため、現場での試験方法としては適していない。そこで、現場で簡単に原料油脂のPOVが測定できる試験紙による方法を検討し、市販の食用油に適用できるかを確認した。
【方法】1)試料:市販のサラダ油、あまに油、えごま油、米油、グレープシードオイル、べにばな油、落花生油の7種類を用いた。2)試料の調整方法:試料を日が当たる場所に放置し自動酸化させた。この油脂に新油を混ぜ、電位差滴定法(公定法)で滴定を行いPOV5,10,20および30に調整した。3)POV試験紙:POVと反応する試薬を含ませた検出部を作製し、スティック状のプラスティックに貼り付けた。4)POV試験紙の操作方法:試験紙の検出部に試料を塗布し、放置した。放置後、水をかけて発色させた。発色部分を色見本と比較してPOV値を判定した。
【結果・考察】作製したPOV試験紙を用いて市販の油脂に適用し、あらかじめ作製した色見本と比較することにより、POV 5~30が判定できた。市販の食用油への適用:POV5,10,20および30に調整した7種類の市販の食用油についてPOVを測定した結果、本法と公定法は同程度の値が得られた。このことから、POV試験紙で市販のサラダ油、あまに油、えごま油、米油、グレープシードオイル、べにばな油、落花生油のPOV測定に適用できることを確認した。