日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k39
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
佐賀県の家庭料理 地域の特徴
ー地域特性にあわせた暮らしぶりー
*西岡 征子武富 和美萱島 知子副島 順子橋本 由美子成清 ヨシヱ
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キーワード: 家庭料理, 佐賀, 地域の特徴
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抄録

【目的】佐賀県は九州北西部に位置し、北を玄界灘、南を有明海に接し、広大な佐賀平野、脊振山を有しており、年間の平均気温が16度前後の地域が多く穏やかな気候である。これまでは料理を区分ごとに次世代に伝え継ぐ料理として紹介してきた。今回はその料理の発祥ともいえる地域の暮らしと食生活の特徴を紹介する。

【方法】調査は食生活の特徴を地勢と生業から①背振山麓と平野部、②山間部、③海岸部、④焼き物の里の4区分に分けて地域の暮らしぶりと家庭料理について聞き取り調査を行った。調査は現地に出向き、住居年数が70~91年で料理に精通している者にインタビュー形式で行った。

【結果・考察】特徴は①背振山麓と平野部に位置する神埼市(神埼)は神埼そうめんが特産物で、町の中心は商業が主であった。山手では米、麦、みかんの生産が盛んであった。②山間部に位置する武雄市(山内)は農山村で山間の盆地であることから裏作も多く作られ裸麦、小麦の作付けや甘蔗、馬鈴薯、菜種などが作られていた。③海岸部に位置する佐賀市(佐賀)は、北は背振山地、南は沖積平野を挟んで有明海に達しており、「山から海まで」を包括した自然を擁しており、耕地の大部分は平野部で二毛作が定着し、有明沿岸ではムツゴロウなど有明海特有の海産物も獲れ、郷土の味として親しまれていた。④焼き物の里の有田町(有田)は磁石から陶土をつくる有田焼として知られる焼きものの町である。有田は水田に乏しく、陶業者や商人など農業に従事しない世帯が多く、全国に有田焼の販売促進を進める中で、各地の新しい食事を取り入れるなど「有田の食道楽」ともいわれていた。以上より、佐賀県の各地域でそれぞれの特徴をいかした暮らしぶりがうかがえた。

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