日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k45
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
沖縄県の家庭料理 地域の特徴
ー人々の創意工夫による多様な料理ー
*田原 美和森山 克子喜屋武 ゆりか渡名喜 まみ名嘉 裕子
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キーワード: 沖縄, 家庭料理, 地域
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抄録

【目的】沖縄県は,南西諸島に位置する大小の島々からなる島嶼県であり,亜熱帯の温暖な気候風土,琉球王国時代には中国・東南アジアとの交易,戦後の米国統治等の歴史的な背景の中で,異文化の影響を受けながら独特な食文化を形成してきたといわれている。その中で,日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の一環として,1960~1970年頃までに定着していた沖縄の家庭料理について,聞き書き調査および文献・資料等をもとに,地域の特徴を報告する。併せて,次世代へ伝え継ぐために,家庭,学校現場等でどのような提案ができるのか検討した。

【方法】平成24~26年度の聞き書き調査報告書,その後の補足調査,沖縄の食に関する文献・資料等をもとに整理する。聞き書き調査は,沖縄本島の北部(本部町崎本部),中部(読谷村宇座・沖縄市登川),南部(那覇市与儀),離島の宮古(宮古島市伊良部),八重山(石垣市登野城)で実施した。

【結果・考察】聞き書き調査の結果,文献等より,調査地域の特徴として,古くから政治・経済・文化の中心地であった那覇は,多様な食材を市場で入手でき,料理の種類も他の地域より多かった。農村部の登川は特産のヤマンムを用いた料理,読谷は,そら豆を用いた手づくり味噌,沿岸部の本部,離島の宮古,八重山では,魚介・海藻類を用いた料理に特徴がみられた。県全域で共通する家庭料理・調理法では,チャンプルー(豆腐と野菜の炒め物),イリチー(炒め煮),ンブシー(野菜,豆腐,豚肉等の味噌煮)等に用いる食材,料理名(方言)に地域の特徴がみられるものもあった。次世代へ伝え継ぐために,人々の食への思いを大切にしつつ,地域性をより重視し, 食育等の視点を踏まえた提案が重要だと考える。

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