日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: B-13
会議情報

口頭発表
炒め玉ねぎの甘い香気成分
*岸川 皓典鈴木 理恵神田 祐輔勝又 忠与次
著者情報
キーワード: 調理科学, 玉ねぎ, HDMF
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】 玉ねぎは料理の種類を問わず広く食される素材であり、生食だけでなく煮る・炒める・揚げるなどの様々な調理法が知られている。中でも玉ねぎをじっくり炒めることで調理される「あめ色玉ねぎ」は、特徴的な甘い風味と調理感を有し、シチューやカレーを始めとして様々な料理で用いられている。

演者らはあめ色玉ねぎ特有の甘く濃厚な風味の正体を解明することを目的に検討を開始した。

【方法】 炒め玉ねぎの香気分析にはAEDA (Aroma extract dilution analysis) 法を用いた。サンプル玉ねぎには北海道産黄種の晩生玉ねぎを用い、種々調理時間の異なる炒め玉ねぎを調製、最も好ましい風味や色調を持つものを官能評価により決定し、AEDA分析サンプルとした。また調理時間の異なる炒め玉ねぎの成分分析をHPLC法により行った。

【結果・考察】 AEDA分析の結果、玉ねぎ特有の刺激臭を持つスルフィド系化合物などを始めとして、甘い香気を持ったフラン系化合物などが高いFDファクター(Flavor Dilution factor)で検出された。特にフラン系化合物の中でも、HDMF (Hydroxy-2,5-dimethyl-3 (2H)-furanone)が最も高いFDファクターを有し、全体の甘い香気に最も寄与していることが判明した。また、調理時間の異なる炒め玉ねぎのHDMF濃度をHPLCにてそれぞれ定量、比較した結果、経時的に増加する傾向が見られた。 HDMFはメイラード反応により生成することが報告されている化合物であり、甘く重たい香気を持つ。本検討より、玉ねぎの加熱工程中のメイラード反応により生成したHDMFが、あめ色玉ねぎ特有の甘く濃厚な風味の形成に重要だと考えられる。

著者関連情報
© 2022 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top