主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】近年、ニホンジカによる農林作物への被害が問題となっており、捕獲と食肉利用が推進されている。我々は、伊豆地域のシカ肉について、捕獲方法、熟成日数、pHと食肉特性の関連などを明らかにしてきた。野生鳥獣では、環境や食餌により栄養状態が異なるが、県内の他地域に生息するシカの食肉特性の違いは不明である。本研究では静岡県内を西部、中部、東部、伊豆半島の4地域に分け、捕獲されたシカの肉について、客観的および主観的データの収集、比較検討を行った。
【方法】試料は、静岡県浜松市、静岡市、富士宮市、伊豆市でくくり罠にて捕獲された体重35 kg以上、推定年齢3歳以上の雌ジカのロースおよびモモ肉とし、加熱肉の保水性(DL、CL、遠心保水性)、テクスチャー特性のかたさ応力、凝集性、付着性(RE-33305S (株)山電)、色彩のL*値、a*値、b*値(CR-400 (株)コニカミノルタ)、生肉の遊離アミノ酸関連物質含有量(アミノ酸分析装置)、脂肪の融点測定(微量融点測定装置 Yanaco)を行った。また静岡県大・学生(18~24歳)40名をパネルとして嗜好型官能評価を行った。評価項目は分析型項目:明るさ、赤の色味、かたさ、ジューシーさ、におい、嗜好型項目:全体的な好ましさの計6項目とした。
【結果・考察】浜松ロースは、かたさ応力で他地域よりも有意に(p<0.05)低値を示し、浜松モモは遠心保水性で有意に(p<0.05)高値を示した。熟成前のpH(pH6.46~6.90)は、浜松ロースでばらつきが小さかった。かたさ応力に地域差が生じた理由に、pHの差の影響が挙げられる。pHは食餌や運動量が影響する筋グリコーゲン量によって変化し、様々な食肉特性と関連しているため、今後は食餌の違いを調査する必要がある。