日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: C-11
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口頭発表
包丁技術習得に関する研究
ー反復練習による効果の検討ー
*長谷川 紘美柳沢 幸江
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抄録

【目的】包丁動作の習得について、より効果的な調理教育方法を検討することを目的とした。自宅での2ヶ月間の週1回のきゅうりの薄切りの反復練習を行うことで、包丁動作にどのような変化が生じるか動作解析を用いることによって確認し、上達の経緯を明らかにした。

【方法】本学の「調理学実習」の履修者で、リンゴの皮むきで包丁技能が低かった者の内、希望者21名を対象に、きゅうりの輪切りの薄切りの練習を実施した。初回の測定後、本人による反復練習は、週1回食材を配布して家での練習を依頼し、約1ヶ月毎に測定を実施した。毎週、練習ができたかの確認をした。測定は、前、1ヶ月後、2ヶ月後の3回行い、包丁には超小型無線生体モニター(インタークロス社)を取り付けた。分析項目は、20秒間の薄切りの枚数、厚み平均、包丁速度平均、加速度とした。加えて調理頻度や上達感等を調査した。統計解析は、IBMSPSSStatistics27を用いた。本研究は、和洋女子大学人を対象とする研究倫理委員会の承認を得た(承認番号:2001)。

【結果・考察】20秒間のきゅうりの薄切りの枚数は、前に対し1ヶ月後、及び2ヶ月後で有意に増加した。厚みは、前より2ヶ月後で有意に減少した。包丁速度は、前に対し1ヶ月後、及び2ヶ月後で有意に減少した。包丁の振り上げ・振りおろし加速度は、前と比較すると高くなる傾向だった。以上の結果から、1ヶ月間の練習では、枚数、包丁速度に効果が表れ、練習を2ヶ月間続けることによってより薄く切ることができることが示された。技術の定着は今後の課題だが、アンケート調査ではほぼ全員が調理の得意感が高くなり、上達を感じたことから、定期的な練習と測定後のフィードバックを行うことで包丁技術向上に繋がると考えられる。

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