日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: C-13
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口頭発表
包丁技術の「見える化」による包丁操作の教育効果
*由良 亮藤岡 美香萩原 勇人楠瀬 千春
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抄録

【目的】栄養士が就業する職場では、包丁操作・技術力が求められる。しかし、栄養士を目指す入学生の中には包丁操作が下手な者がいる。そのため、教育機関として実習を通して操作技術の向上させることが求められるが、コロナウィルス感染症の影響により、彼らは十分な実習が行えない状況にあった。

私たちの研究チームはMEMSモーションセンサーを用いて包丁操作の「見える化」を試みてきた。この方法を利用すれば、各個人の包丁操作の特徴を見出すことができる。それにより、各個人の検討課題を明確化することで、客観的な指導を行うことが可能となるのではないかと考えた。

【方法】短期大学部1年次学生を対象にMEMSモーションセンサーを取り付けた包丁を使用して操作特徴を測定した。記録されたデータに見られる個人の特徴を、フィードバックし、自らの具体的な課題を確認させるとともに、熟練者の特徴および包丁操作に関するインタビュー内容と比較して検討した指導内容を踏まえ、段階的に指導と練習を行い、5週目に再度測定を行った。これを指導前と比較し、指導効果について検証した。

【結果・考察】学習者の指導前のデータでは、ロール軸の運動がピッチ軸の運動よりも大きくなる傾向がみられたが、指導後には多くの学習者がピッチ/ロール比が大きくなる結果となった。また、12名全員が指導前後で変化した特徴としては、包丁の持ち手後方でピッチ運動が起こるようになり、包丁を前に押し出しながら切ることで、ブレが少なくなったことがわかり、学習者の包丁操作および意識に変化が見られ、熟練者のデータに近づく結果となった。

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