日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: C-19
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口頭発表
苦味がコーヒーの濃さに及ぼす影響
*劉 尭煒長尾 昭彦竹嶋 伸之輔小林 三智子
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抄録

【目的】近年、コーヒー中の苦味物質クロロゲン酸、クロロゲン酸ラクトン類物質は健康に対して良いものと認められた。しかし、実際に抽出したコーヒー中の苦味を変化させ、その風味に与える影響についての研究は少ない。本研究では、コーヒーの特殊味である苦味を究明するために、苦味の変化がコーヒーの風味に及ぼす影響を検討した。

【方法】エチオピア産アラビカ種の生豆を用いた。3段階の異なる焙煎度でコーヒーを焙煎し、水出し方法を用いて抽出し、焙煎度の違いによる、コーヒー中のカフェイン量を確認した。味認識装置TS-5000Z(味覚センサー)とHPLCを用いて、機器分析を行った。同じ抽出方法を用いて、カフェイン量を調整したコーヒーをTI、TDS、TCATAおよび順位法を用いて、官能評価を行った。機器分析と官能評価の結果から総合的に検討した。

【結果・考察】味覚センサーの分析から、焙煎度により、コーヒーの苦味の強さは変化した。HPLC分析から、焙煎度の違いによるコーヒーのカフェイン含有量はほぼ同程度と判断された。官能評価について、TI法の結果から、カフェインの添加により、コーヒーの苦味の強さに影響を与えた。TDS、TCATAおよび順位法を用いて、コーヒーの酸味の強さ、苦味の強さ、渋味の強さ、濃さおよび総合評価を評価した。その結果より、苦味がコーヒーの濃さに影響を与えることが分かった。苦味はコーヒーの風味に及ぼす影響の1つの味であり、摂食を完全に忌避するイメージではなかった。今後は、飲料中の苦味と他の食品の相互作用を検討したい。

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