日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-26
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ポスター発表
大量調理機器の圧力加熱とスチーム加熱の比較(3)
ーブロック豚肉の調味料添加の有無による香気成分変化ー
*中村 雅岩塚 優佐藤 杏美河内 公恵吉田 啓子大中 佳子
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キーワード: 豚肉, 香気成分, 大量調理
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抄録

【目的】多くの大量調理施設ではスチームコンベクションオーブンが導入されているが、近年は加圧機能付きティルティングパンが普及しつつある。本研究はブロック豚肉の加熱調理前後の香気成分について、加圧機能付きティルティングパンの圧力加熱(以下圧力加熱)とスチームコンベクションオーブンのスチーム加熱(以下スチーム加熱)及び調味料添加(醤油、砂糖)による差異について明らかにすることを目的とした。

【方法】約500gの豚肩ロースを2種類の加熱機器を用いて加熱した。スチーム加熱では湿度100%、加熱温度は100℃とし、圧力加熱では水を入れて加熱温度は99℃とした。いずれも肉の中心温度が75℃に到達した後、3分間加熱を継続した。加熱翌日に、肉の表面の赤身部分と脂身部分についてHS-SPME-GC/MS分析を行った。調味料添加試料は、加熱前日に肉を調味料(肉に対して醤油15%, 砂糖12.5%)に漬け、調味料無添加試料と同様に、加熱と香気成分分析を実施した。

【結果・考察】生肉に比べ加熱後は、ヘキサナールや(E,E)-2,4-デカジエナールなどのアルデヒド類、2-ペンチルフランが増加した。これらは脂質の酸化により生じ、酸化臭や脂臭さを呈することが報告されている。これらの酸化生成物は、スチーム加熱に比べ圧力加熱が、脂身部分に比べ赤身部分が、調味料添加に比べ調味料無添加が多い傾向がみられた。この生成量の違いは、スチーム加熱より圧力加熱で表面温度が高くなったこと、脂身より赤身は脂身より酸化を促進する鉄を多く含むことや、醤油がメラノイジンなどの抗酸化物質を含むことが理由として考えられた。

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