日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-28
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ポスター発表
高齢者用食品の物性制御を目的としたゲル粒子分散ゲルのレオロジー特性
*土岐田 佳子野田 直緒半田 晶子小﨑 智恵藤井 恵子
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抄録

【目的】高齢者用食品の開発においては、栄養面だけでなく、食品の軟らかさや飲み込みやすさに配慮した物性であることが求められる。先の研究では、卵ゲルに枝豆を分散させることにより、硬さを調整できることを明らかにした。本研究では、高齢者用食品の物性制御の観点から、モデル的に卵ゲルの連続相にサイズの異なるゲルを分散させ、その影響について検討した。

【方法】分散粒子にタピオカゲルを選択し、卵ゲルは、卵液の濃度を40、55、70%になるようだし汁で希釈した。そこへ2、6、10mmのサイズの異なるタピオカゲルを25~75%添加後真空調理を行った。加熱条件は、中心温度85℃で3分間一次加熱し、25℃まで冷却後、75℃で1分間二次加熱を行った。得られた試料について、破断特性、静的粘弾性を評価した。

【結果・考察】分散しているタピオカゲルが連続相である卵ゲルより軟らかい場合、破断ひずみはタピオカのサイズや添加割合の影響を受けなかったが、連続相より分散粒子が硬い場合、タピオカを25%添加すると低下したが、50%以上添加すると高値を示した。破断応力、破断エネルギーについても同様に、連続相より分散粒子が硬い場合、分散粒子を25%添加すると低値を示し、それ以上の添加量では硬いゲルとなった。静的粘弾性では、連続相より分散粒子が硬い場合、分散粒子の添加量の増加に伴いフック部の弾性率、ニュートン部の粘性率はともに増加した。遅延時間は、連続相より分散粒子が軟らかい試料では、2mmのタピオカを50%以上添加すると遅延時間は高値を示した。このことから、連続相の硬さをもとに、分散粒子の硬さ、配合割合、大きさを変化させることで、物性を制御できることが示された。

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