日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-35
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ポスター発表
戦後沖縄の食生活と食文化に関する一考察
—高齢者を対象とした調査を中心に—
*田原 美和浅井 玲子
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キーワード: 沖縄, 食生活, 食文化
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抄録

【目的】沖縄は戦後27年間,米国統治下にあった歴史的な背景をもつ。本報は,文献,高齢者を対象とした調査等を通して米国統治期における食生活の工夫や思い出,外来の配給食料の食体験などを記録しながら,これまでの食生活や食文化を踏まえつつ外来の食文化の何をどのように受容してきたのか,併せて本土復帰以降の食品流通の変化が沖縄の食生活に与えた影響等を考察するための基礎資料を得る事を目的とした。最終的には,得られた知見をもとに,地域の食文化の継承と創造につなげる食育の教材提案をめざしている。

【方法】米国統治期の食生活を体験した70代以上の高齢者を対象に,戦後の食生活に関する質問紙・聞取り調査を2022年5月~2023年3月に実施した。調査地域は沖縄本島中部(U市),南部(N市)で,本調査の説明後に同意の得られた37人を研究対象とした(平均年齢79.1±5.4歳)。質問紙調査の分析は,SPSS ver.28.0を用いて単純集計,クロス集計を行った。

【結果】終戦後の食べ物が少なかった時期は,主に芋(甘藷),野菜,配給のメリケン粉などを工夫しながらの食生活を営んでおり,外来の配給食料の食体験は,生業,近隣に米軍基地の有無などによって異なる事例がみられた。復帰後の食生活については,「大きな変化があった」「少し変化はあった」は48.5%で,その理由として日本本土からの大規模小売店舗の進出等により多様な食品が入手しやすくなった,ファストフード店の増加等の回答があげられた。次世代に伝え継ぎたい地域の食に関する内容(複数回答)は,「料理」(75%),「食べ物を大切にする心」(50%)等の順に多く,現状に合せて柔軟に対応していく事を重視している傾向がみられた。

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