日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-26
会議情報

ポスター発表
食用キノコの種類の違いによる香気組成の比較
*楊 淞壬飯島 陽子
著者情報
キーワード: キノコ, 風味, 加熱調理
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】キノコの風味については,シイタケなど一部のキノコについての報告はあるが,キノコの風味比較に関する研究はほとんどなく,特に香気成分に関しては不明な点が多い。本研究では,日本国内で,頻繁に食されているキノコの香りに着目し,5種類のキノコ(エリンギ,エノキタケ,ブナシメジ,シイタケ,マイタケ)の香気組成成分の比較について調べることを目的とした。さらに,調理加熱の影響についても調べる。

【方法】スーパーで各種キノコを入手し,液体窒素で凍結後,乳鉢で粉状になるまで粉砕し,サンプルとした。バイアル瓶に,サンプル1 g,塩化ナトリウム1.0 g,超純水1 mLを加え,内部標準液4-Octanol(1.25 mg/mL)50 mLを加え,5分間超音波処理した。そのヘッドスベースに対し,揮発性成分をSPME-GC/MS分析を行なった。得られた生データに対し,ピークデコンボリューションとピークアライメントを処理した後,主成分分析を行い,各キノコの特徴的な香気成分をスクリーニングした。

【結果】GC-MS分析結果,合計91種類揮発性成分が検出された。1-octen-3-olをはじめ,3-octanone,3-octanolなど,キノコ間で共通する香気成分が多く,特に炭素数8の化合物が多く検出された。しかし,種類によりピーク面積が異なっており,エリンギ,シイタケ,ブナシメジでは1-Octen-3-olが多く,3-Octanol,3-Octanoneはエリンギでほどんど見いだされなかった。また,直鎖アルコール,アルデヒド類の組成に大きな違いが見られ,各キノコを特徴づけることができた。また,加熱による影響についても検証した。

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top