日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2D-2
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口頭発表
和菓子の種類と地域差における餡色,糖度およびテクスチャー特性について
*野村 知未古谷 規行
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キーワード: 和菓子, , 食感, 地域特性
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抄録

【目的】和菓子は,日本の歴史や季節感から生まれた伝統文化であり,日本の年中行事にも密接な関わりをもつ。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降わが国の食文化の保護・継承は喫緊の課題とされ,和菓子についても例外ではない。本研究では,食文化伝承の一助とするべく,和菓子の種類ならびに関東圏と関西圏における食味特性の違いを明らかにすることを目的とした。

【方法】試料は餡を使用した生菓子および半生菓子とし,蒸し物の「蒸し饅頭」,焼き物の「饅頭」,おか物の「最中」3種とした。これらを,東京を中心とした関東圏と京都を中心とした関西圏の老舗和菓子店から購入し試料とした。各々の試料は,重量を測定した後に餡と餡を包む外皮に分け,色彩色差計により餡の色彩構成(L*値,a*値,b*値)を,Brix糖度計により糖度を,卓上物性測定器を用いて,硬さ,凝集性,付着性を測定した。

【結果】焼き物の饅頭および最中では,全重量に対する餡の割合は関東圏(以下,東)と関西圏(以下,西)で有意な差は認められなかった。一方で,餡のBrix値は最中では東の方が有意に(p<0.05)高く,色彩構成にも差が認められた。また,東の方が硬さ,付着性,凝集性が高く,硬くて粘りがありまとまりのある餡であると示唆された。また,菓子の種類による餡の特性を比較すると,東西ともに最中は他の菓子に比べて最も付着性が高く,蒸し饅頭は最も凝集性,付着性が低かった。色彩構成は,L*,b*が有意に異なり最中の餡が最も色鮮やかであった。

 以上のように,同種の和菓子においても地域差が生じる可能性が示唆され,菓子の特性にあわせて餡が用いられることが明らかになった。

本研究の一部は,R4年度豆類振興事業助成(4C9)により行った。

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