日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-4
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ポスター発表
古米をおいしく食べる方法の検討
—大豆発酵食品テンペの利用—
*西川 章江岡部 将仁
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抄録

【目的】古米の炊飯米は,水分が少なく,かたく,あまりおいしくないとされている。古米の食味改善のために,食酢,みりん,清酒等の調味料や柑橘果汁,竹炭を加えた方法等が挙げられる。大豆発酵食品のテンペは,炊飯時に添加すると「ふっくらツヤツヤ」「甘くておいしい」等の情報があり,古米の食味改善の可能性があると考えられる。しかしながら,テンペのこのような効果については情報だけで,それを裏付けるデータはない。そこで,本研究では,テンペの古米の食味改善に及ぼす影響について検討する。

【方法】米は島根産きぬむすめ(精白米)を用い,令和2年産(古米),令和3年産,令和4年産(新米)をとした。古米の食味改善に影響を及ぼすと考えられる試料として,テンペの他に本みりん,米酢,清酒,オリーブ油,竹炭,水煮大豆を用いた。米75 gを300 mlの水で3回水洗し,1.5倍量の水(約20℃)に60分間浸漬後炊飯した。テンペおよび水煮大豆は,炊飯後ににおいや味を感じない程度の量(2 g)をみじん切りにして用いた。その他試料の添加量は,先行研究を参考にした。各条件の吸水率,浸漬液のpH, 炊飯米の水分含有率を測定した。おにぎり(米飯360 g)を調製し,10分後と30分後のかたさ(応力)をレオテスターにより測定した。

【結果】米の浸漬60分後の吸水率において,古米より高かったのは,米酢,竹炭,テンペ,水煮大豆を添加した場合であった。古米より高い水分含有率を示したのは,オリーブ油,米酢,みりん,水煮大豆を添加した米飯であった。おにぎり調製10分後と30分後のかたさにおいて,テンペ,水煮大豆,清酒,本みりん,オリーブ油を添加したものは変化が小さかった。テンペも古米の食味を改善させる可能性が示唆された。

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