日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-21
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ポスター発表
低未利用家禽卵の有効活用に向けて
—起泡性の検討—
*松岡 瑠里子椎名 美紀梶野 涼子
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抄録

【目的】スポンジケーキ,ムースなど卵白の起泡性を利用した食品は多い。卵白の起泡性は,卵白を構成しているタンパク質の特性によって示される。分類学上,鶏と異なる家禽の卵は,鶏卵と相同性はあってもアミノ酸配列が異なるため,その起泡性も異なることが推察される。色々な調理条件を想定した起泡性を把握することは,家禽種毎の特性を活かした新規食品の開発につながることが期待できる。本研究では,低・未利用家禽卵の起泡性を検討することを目的とした。

【方法】ニワトリ(Chi),アヒル(Duk)およびダチョウ(Ost)の卵白を対象とした。起泡性試験に用いる卵白は,保存温度(冷蔵,室温,40℃),pH調整(pH4,7,9),砂糖添加(卵白重量の50%,100%)処理を行った。起泡力の測定は,卵白50 gをスタンドミキサーで各時間(0.5~7分)泡立てた後,容積を計測した。気泡安定性は,泡立て後,経時的に離水量を計測した。また,泡立て後の泡について,テクスチャー測定およびデジタルマイクロスコープによる観察を行った。

【結果】各種保存温度における起泡性は,Duk卵白の場合,40℃保存で他の保存温度に比べ短時間の撹拌で泡が形成されたが,保存温度による起泡力の差は認められなかった。気泡安定性は冷蔵保存が最も高かった。ChiおよびOst卵白においては,保存温度による起泡性の差は認められなかった。鳥種間を比較すると,Chi卵白は短時間で急激に起泡力が高くなるのに対し,Duk卵白は泡立ち始めるまでに時間を要した。Ost卵白は短時間で泡立ち始めるが緩やかに上昇した。その他,各種家禽の起泡性に及ぼすpHおよび砂糖添加の影響についても報告を予定している。

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