日本調理科学会大会研究発表要旨集
2025年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1D-5
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アンネ・フランクの父オットー経営会社の商品オペクタについて
*小竹 佐知子
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抄録

【目的】『アンネの日記』著者アンネ・フランクの父オットー・フランク経営のオペクタ商会で販売されていたペクチン製品“Opekta”について紹介する。

【方法】1937(昭和12)年発行の書籍『Kook- en huishoudboek』(『料理と家庭の本』)を資料とし、p.90~98掲載の「HET MAKEN VAN JAM MET GEBRUIK VAN “OPEKTA”」(「“OPEKTA”を使ったジャムの作り方」)の内容および関連事項を調査した。著者Wilma Münchは農業・家庭科の教師であり、出版社はMünch書店、出版地はオランダのユトレヒト、版は初版1931年の改訂3版であった。

【結果】アムステルダムのオペクタ商会は、スイスバーゼル本社の支社として1933(S8)年にオットーによって開設された。主としてジャムやゼリー作りに使われるゲル化剤、ペクチンを製造・販売する会社であった。オットーはこのほかに、ペクタコン商会(肉製品の香辛料販売、1938~)も経営していた。アンネらが戦争中に身を潜めていた「隠れ家」はこれら商会の事務所建屋の裏側に位置していた。Opektaはリンゴから抽出したペクチンであり、天然由来であることが強調され、製品には液体品と乾燥品があった。Opektaの使用により、従来のジャムづくりに比べて、煮詰め時間が短縮されること、香り成分が保持されること、トロミのつきにくい果物でもジャムを作ることが可能なこと、が利点として挙げられていた。ジャム原材料の果物には、イチゴ、リンゴ、西洋スグリ、ブルーベリー、キイチゴ、スグリ、サクランボ、プラム、アンズ、モモ、ルバーブ、トマト、オレンジが掲載されていた。

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