主催: 一般社団法人日本調理科学会
会議名: 2025年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 36
開催地: 東海学園大学
開催日: 2025/08/30 - 2025/08/31
【目的】パールミレット(トウジンビエ)は、主にアフリカ、インドで食用として栽培、消費されている穀物であり、栄養価が高いことや干ばつ耐性が強いことから、日本においても今後の食資源としての有用性を持つ一方、調理性に関する研究があまり見られない。そこで本研究では、パールミレット粉末を用いたクッキーとマドレーヌを調製し、調理特性を明らかにすることとした。
【方法】クッキーは薄力粉、無塩バター、グラニュー糖、卵を用いて調製したものをコントロールとし、薄力粉をパールミレットまたは米粉で100%置換して同様に調製した。調製方法は、薄力粉以外を混合した後、薄力粉を加え、十分にまとまったら、4℃で15分間冷却後、厚さ5 mmにのばし型抜きをして180℃で10分間焼成した。測定項目は色、物性、水分量、吸水量とした。マドレーヌは、薄力粉またはパールミレット、卵、無塩バター、グラニュー糖、蜂蜜、ベーキングパウダ―、バニラオイルを用いて調製し、各種測定を行った。
【結果】色はクッキー、マドレーヌともにパールミレット添加で暗く、粉の色が反映されていた。クッキーの硬さはパールミレット、薄力粉、米粉の順で有意に硬くなった。破断エネルギーは米粉と比較して薄力粉、パールミレットで有意に大きかった。水分量は米粉、薄力粉、パールミレットの順で多い傾向が見られた。クッキーの吸水量に関しては粉の違いによって顕著な差は見られなかった。パールミレットを用いると薄力粉との違いはあるものの、100%置換で調製することが可能であった。また、パールミレットは独特のえぐみを有しているが、菓子類に用いることで嗜好性を高められることが示唆された。