1970年代後半以降,アメリカ合衆国の高等教育を取り巻く状況は,教師中心から学生中心の時代への移行,生涯学習の強調という,2つの大きな変化を見せた。そのような流れの中で,大学図書館の在り方についても再考が必要な時期を迎えている。
本稿では,ルイス・ショアーズの“ライブラリー・カレッジ”を現代という文脈の中に位置づけ,大学および大学図書館の両側面から,“ライブラリー・カレッジ”が従来の問題点を解決しうる要素を含んでおり,技術面の進歩も“ライブラリー・カレッジ”の意義を高めていることを指摘した。それとともに,実現の障害となりうる問題についても取り上げ,解決の方向を探った。