図書館学会年報
Online ISSN : 2432-6763
Print ISSN : 0040-9650
ISSN-L : 0040-9650
39 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 村上 泰子
    原稿種別: 論文
    1993 年 39 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 1993年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     1970年代後半以降,アメリカ合衆国の高等教育を取り巻く状況は,教師中心から学生中心の時代への移行,生涯学習の強調という,2つの大きな変化を見せた。そのような流れの中で,大学図書館の在り方についても再考が必要な時期を迎えている。
     本稿では,ルイス・ショアーズの“ライブラリー・カレッジ”を現代という文脈の中に位置づけ,大学および大学図書館の両側面から,“ライブラリー・カレッジ”が従来の問題点を解決しうる要素を含んでおり,技術面の進歩も“ライブラリー・カレッジ”の意義を高めていることを指摘した。それとともに,実現の障害となりうる問題についても取り上げ,解決の方向を探った。
  • 一米国での制度的・理論的展開一
    福永 智子
    原稿種別: 論文
    1993 年 39 巻 2 号 p. 55-69
    発行日: 1993年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     本稿では,まず‹制度化›,‹理論化›という 2つの視点を設定し,米国における学校図書館を対象にした利用者教育研究の動向を概観する。その結果,利用者教育の制度化・理論化ともに,3つの発展段階が認められた。次に具体的な利用者教育アプローチの検討を試み,この検討をもとに,1980 年代以降,いわゆる利用者教育研究の第 2 世代が発表した新しい利用者教育のアプローチが抱える問題点を指摘し,それらの問題点に対して考察を加える。米国では,学校図書館を対象とした利用者教育の理諭化が,学習センタ一構想という制度的枠組みの中で集中的に展開されてきたこと,そしてこの理論化の方向性は,米国固有の学校教育事情に即したものであることが確認された。最後に今後の利用者教育研究の方向性を明らかにする。
研究ノート
  • ─学協会誌の著者・編集者段階でのテキストの電子化について─
    二村 健, 平井 歩実
    原稿種別: 論文
    1993 年 39 巻 2 号 p. 70-84
    発行日: 1993年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     電子図書館の成立に向けて働き得る誘因として,とくにドキュメントデリバリーという観点から,学術論文の電子化と,学協会誌の電子ジャーナル化という点を中心に調査を行った。
     1991年度時点でのおおよその傾向として,次のことが指摘できる。学協会誌の発行部数は漸増の傾向があり,発行コストは上昇傾向にある。会誌の発行コストを下げるための工夫を行う学協会の数は多い。ワープロの社会的普及がテキストの入稿形態を変えつつある。テキストの電子化は,すでに著者の段階でかなり高い率で進行している。学協会誌の発行コスト引き下げの努力がテキストの電子化の誘因として働き得る。「電子ジャーナル」の存在を知らない学協会の数は結構多く,そのため,これに対する合理的予見が乏しい。自らの会誌の「電子ジャーナル」化は考えられないとした学協会は圧倒的に多いが,その一方で,コスト削減を絡めて強く興味を示した学協会が一定程度存在する。
     テキストの電子化は,著者の段階からかなり進行していると言える。しかし,学協会側では,これらを集合,保存し頒布する態勢は現在のところ整っていないようである。
  • 谷口 祥一
    原稿種別: 論文
    1993 年 39 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1993年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     筆者は以前に,記述対象資料の把握を構造化して行うための概念的枠組みの提出を試みた。その枠組みは当初の構成から,「三層構造モデル」と名づけておいた。当該三層モデルに対しては,その発表後,いくつかの疑問および批判が寄せられた。本稿ではそれらのうち,岩下康夫氏および志保田務氏により提出されたものを取りあげ,その論点を整理し,可能な限り答えることを試みている。検討の結果,それら指摘には妥当かつ有用なものも多く認められるが,いくつかの点に関しては反論せざるをえないものであることを明らかにした。特に著作概念に関わる諸点については,筆者なりの反論をも展開した。
サマリー
feedback
Top