抄録
筆者は以前に,記述対象資料の把握を構造化して行うための概念的枠組みの提出を試みた。その枠組みは当初の構成から,「三層構造モデル」と名づけておいた。当該三層モデルに対しては,その発表後,いくつかの疑問および批判が寄せられた。本稿ではそれらのうち,岩下康夫氏および志保田務氏により提出されたものを取りあげ,その論点を整理し,可能な限り答えることを試みている。検討の結果,それら指摘には妥当かつ有用なものも多く認められるが,いくつかの点に関しては反論せざるをえないものであることを明らかにした。特に著作概念に関わる諸点については,筆者なりの反論をも展開した。