図書館学会年報
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論文
都道府県教育委員会による市町村立図書館振興策の根拠法令
─変遷の経過と内容─
薬袋 秀樹
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1993 年 39 巻 4 号 p. 158-176

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抄録

 市町村立図書館の設置を進めるには都道府県教育委員会による積極的な図書館振興策がきわめて重要である。本稿の目的は,都道府県教育委員会による市町村立図書館振興策の根拠法令が戦後期にどのように形成されてきたのかを明らかにすることである。本稿では,1950年制定の図書館法第 7条,1956年制定の地方教育行政の組織及び運営に関する法律第48条,1967年改正の社会教育法第 6条第 1号の制定・改正の経過と条文の解釈を検討した。
 これらの検討から次の点が明らかになった。図書館法第 7条のもとでは,都道府県教育委員会は実質的な効力のある指導・助言を積極的に提供することはできず,「求めに応じて」「専門的技術的」指導・助言を与えることができるのみであった。都道府県教育委員会による積極的かつ全般的な指導・助言は,1956年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の制定と 1967年の社会教育法第 6条第 1号の改正によって可能になったのである。

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© 1993 日本図書館情報学会
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