1996 年 42 巻 3 号 p. 135-147
公共図書館における利用者教育を再検討し,利用者ガイダンスという概念のもとに理論的に位置付ける枠組を提示する。まず,利用者教育が展開される背景を,図書館の内的要因と外的要因とに分けて指摘し,その問題点を整理する。つづいて,従来の利用者教育の議論を,主体と目的の点から考察するが,図書館員ばかりでなく,利用者自身と図書館学教育の関与を,主体のなかでとらえて議論することが特徴となる。最後に,利用者ガイダンスのモデル構築を目指して,利用者ガイダンスが実践される文脈とその目的という二つの軸で図を描いて分析の枠組を提示するとともに,既存の枠組の問題点や新たなモデルを提示するための要因などについて言及する。