図書館学会年報
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42 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 一公共図書館における利用者ガイダンスへの展開─
    小田 光宏, 柳 与志夫
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 3 号 p. 135-147
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     公共図書館における利用者教育を再検討し,利用者ガイダンスという概念のもとに理論的に位置付ける枠組を提示する。まず,利用者教育が展開される背景を,図書館の内的要因と外的要因とに分けて指摘し,その問題点を整理する。つづいて,従来の利用者教育の議論を,主体と目的の点から考察するが,図書館員ばかりでなく,利用者自身と図書館学教育の関与を,主体のなかでとらえて議論することが特徴となる。最後に,利用者ガイダンスのモデル構築を目指して,利用者ガイダンスが実践される文脈とその目的という二つの軸で図を描いて分析の枠組を提示するとともに,既存の枠組の問題点や新たなモデルを提示するための要因などについて言及する。
研究ノート
  • 塚原 博
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     学校図書館において科学の本に対する有効な読書指導が活発に行われていない状況の中,児童を科学の本へ導く動機づけとしての読書指導の開発が望まれる。そこで,本稿においては,小学校図書館における読書指導,図書館活動の一方法として科学あそびの導入の可能性と意義について考察を行った。その結果,科学あそびは,1)児童にとって心理学的にみても適切であり,2)学習指導要領に示された教科の目標や,学校図書館の活用を計る観点から学校図書館において実施することが可能であり,3)児童の科学に対する興味を喚起することができ,4)科学の本に対する読書興味を高め,読書を促進することができ,5)読書の動機づけとして学校図書館で導入するときは,小学校 3年生から 5年生までを対象の中心にするのが効果的であることが明らかになった。
  • 金沢 みどり
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 3 号 p. 155-163
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     本研究では,大学図書館利用者を対象として,文献データベース検索に関する CAIコースウェアを開発した。本 CAIコースウェアでは,学習者が様々な文献データベースを利用して文献検索を行なえるように,必須の基礎的知識や概念を習得させることを目的としている。本 CAIコースウェアを開発するにあたり,重要な情報やヒントにはグラフィックスやカラーを積極的に使用した。また,質問に対するヒントなど各学習者へのきめの細かいフィードバックに配慮した。
     本CAIコースウェア開発後,講義による教育効果と本 CAIコースウェアによる教育効果との比較を行なった。その結果,文献データベース検索に関する教育において,CAIコースウェアの有効性が示唆された。
  • 英米文学の場合
    菊池 しづ子
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 3 号 p. 164-171
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     本稿は,英米文学研究領域における222の雑誌論文を対象として,その掲載誌およびそれらが引用している1375件の文献を分析することによって,人文系における文献の発表と利用の状況の一端を明らかにすることを試みている。
     調査の結果次のようなことが明らかになった。英米文学では圧倒的に多くの論文が紀要に掲載される。研究者は洋書を多く引用するが,和書および和洋を問わず雑誌論文からの引用は極めて少ない。引用される和書は研究テーマ以外のものがほとんどである。和雑誌のうち紀要からの引用は少なく,かつ自著引用が多い。洋書および洋雑誌論文は評価の定まった古いものがよく引用される。
  • ─現代図書館論の 2著を読む─
    根本 彰
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 3 号 p. 172-179
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     現代社会における図書館の役割について論じたウィリアム・バーゾール著『電子図書館の神話』とマイケル・ハリス/スタン・ハンナ『未来へ向けて』の2著を比較検討して,これからの図書館研究の基本的視角を明らかにすることを試みた。『電子図書館の神話』は伝統主義の立場に立って図書館のシンボリズム研究への先鞭をつけ,『未米へ向けて』は電子図書館を肯定する現実主義の立場に立って,これを西欧正典主義からの離脱の契機にしようとしていることを明らかにした。
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