1996 年 42 巻 4 号 p. 216-224
図書館業務及び図書館サービスへのマーケティング理論の適用については,欧米各国を中心に,理論・実践の両面において近年盛んに行われている。一方我が国では,専門図書館等を中心にその関心は高まりつつあるが,実際の図書館現場での計画的適用例はまだほとんど見当たらないと言っても過言ではない。しかし,そのことは,図書館のマーケティング「的」活動が皆無であることを意味するわけではない。
本論は,今後の図書館現場への本格的マーケテイング導入の参考となることを目的に,「非意図的」に行われた図書館マーケティング的治動を分析し,その意義と問題点を明らかにしようと試みた。その事例としては,1986年に国立国会図書館で行われた「対図書館サービス」をとりあげた。