抄録
伊藤・吉川(2004, 2007, 感情心)は,人が顔から感情を読み取る際に顔のどの部分を手がかりにしているのかを検討し,表情によって影響の強い部位が異なることを示した。しかし伊藤らの研究では,正答数のみを分析対象としており,実験参加者が選んだ感情のカテゴリーが実験者の想定したカテゴリーと異なる場合は,分析対象から除外されていたという問題がある。そこで本研究では,感情強度の段階評価を用いて,正答とされる回答以外について分析することで,特定の部位の影響によってどのような感情に混同したのかを検討した。