2024 年 3 巻 1 号 p. 266-270
日常的に使われる文化という言葉は、共有された言語、価値観、信念、行動規範のような意味合いで用いられることが多いが、研究における文化の概念や定義は非常に多様である。経験的研究においては、研究の直接的な対象として文化を扱うこともあれば、研究の文脈や背景に漂うものとして文化を想定することもあるだろう。同様に、混合型研究においても混合研究法を扱う研究者にとっても、文化というものは捉えどころがない概念であると言って良いだろう。本稿では、Cheryl PothによるThe SAGE Handbook of Mixed Methods Design(2023)のうちSection 5: Navigating Research Cultures in Mixed Methods Designを取り上げ、文化というものが混合研究法との関わりのなかでどのように描かれるかを概説する。