混合研究法
Online ISSN : 2436-8407
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
寄稿
  • 日本を代表する3名の混合研究法研究者のアイデア
    河村 洋子
    2024 年 3 巻 1 号 p. 254-255
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル オープンアクセス

    2023年10月に開催された日本混合研究法学会年次大会の「MMRオープンフォーラム」では、抱井尚子氏(青山学院大学)、八田太一氏(静岡社会健康医学大学院大学)、稲葉光行氏(立命館大学)の3名が登壇し、刊行されたばかりのCheryl Poth氏(2023)によるThe SAGE Handbook of Mixed Methods Designを素材として、混合研究法(以下、MMR)の未来についてディスカッションされた。この日本を代表する3名のMMR研究者から、書籍の内容だけではなく、刊行に至るプロセスが紹介され、書籍の「多様性を尊重する姿勢」がいかに強調され、具現化されているかを知ることができた。著者は、フォーラムにおいてディスカッサントとして参加する機会をいただいた。3名のお話を聞きながら、「多様性」は、現代社会のこれからを特徴づける重要なキーワードであることは間違いないが、MMRのこれから(未来)にも当てはまることを実感した。本号では、3名の研究者がフォーラムにおいて語られた、ハンドブックの刊行から見えるMMRの(現在と)未来のランドスケープを文章として残していただくこととした。ハンドブックそのものが非常に豊かな学びを提供してくれることは間違いないが、この3名の視点を知ることで、学びの豊かさはさらに大きくなるであろう。

  • The SAGE Handbook of Mixed Methods Designの貢献
    抱井 尚子
    2024 年 3 巻 1 号 p. 256-260
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、2023年度の日本混合研究法学会(JSMMR)年次大会にて行われた「MMRオープンフォーラム」の内容を中心に、混合研究法に関する最新の動向を検討する。特に、Cheryl PothによるThe SAGE Handbook of Mixed Methods Design(2023)の紹介と分析を通じ、混合研究法の新たな展開とそのコミュニティへの貢献を探る。本ハンドブックは、混合研究法デザインのジレンマと機会をグローバルな視点から捉え、イノベーションを促すことを目的としている。Pothのアプローチは、混合研究法に対する革新的かつ包摂的な態度を反映し、新しい創発的プロセスとしての混合研究法デザインの可能性を提案している。このハンドブックが、方法論の拡張、国際的な包摂性の強化、混合研究法の脱構築への挑戦など、混合研究法コミュニティへの重要な貢献を果たしていることを明らかにする。

  • The SAGE Handbook of Mixed Methods Design Section 4が問いかけるもの
    稲葉 光行
    2024 年 3 巻 1 号 p. 261-265
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル オープンアクセス

    近年、ビッグデータ解析やデータマイニングなど、さまざまなデータの収集・分析・視覚化のための多様なテクノロジーが提案されている。そのような中で本稿では、混合研究法における統合はどうあるべきか、また統合の枠組みをどのように発展させていくべきなのか、という点について論じる。具体的には、The SAGE Handbook of Mixed Methods Design(2023)のSection 4: Designing Innovative Integrations with Technologyを参考に、そこに所収された研究事例と、Section 4の編集責任者Tim Guettermanが示した統合に関する根源的な4つの問いを手がかりとして、混合研究法における統合概念の現状と展望について考察する。

  • 八田 太一
    2024 年 3 巻 1 号 p. 266-270
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル オープンアクセス

    日常的に使われる文化という言葉は、共有された言語、価値観、信念、行動規範のような意味合いで用いられることが多いが、研究における文化の概念や定義は非常に多様である。経験的研究においては、研究の直接的な対象として文化を扱うこともあれば、研究の文脈や背景に漂うものとして文化を想定することもあるだろう。同様に、混合型研究においても混合研究法を扱う研究者にとっても、文化というものは捉えどころがない概念であると言って良いだろう。本稿では、Cheryl PothによるThe SAGE Handbook of Mixed Methods Design(2023)のうちSection 5: Navigating Research Cultures in Mixed Methods Designを取り上げ、文化というものが混合研究法との関わりのなかでどのように描かれるかを概説する。

原著
  • Guetterman尺度を用いて
    河村 洋子, 抱井 尚子
    2024 年 3 巻 1 号 p. 271-291
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/25
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:本研究は看護学研究者を対象に、混合研究法の実践に関連する説明力や適応力の自己評価(認識)の観点から、学修ニーズに関して多角的な知見を得ることを目的とした。

    方法:本研究は、収斂デザインによる混合型研究である。量的データ分析としてGuetterman尺度を用いて特定した、混合研究法スキルの自己評価に基づく3群(高・中・低群)の属性的な特徴を確認した。次に、フォーカス・グループ・インタビュー(FG I)の逐語録を通読し、意味に沿ってその内容をコーディングすることで、質的データ分析を行った。そして、このコーディング結果に量的データ変換を行い、これにより3群間の傾向の違いを確認した。最後に、量的・質的データを統合し、メタ推論を導出することによって、混合研究法スキルの自己評価3群別の学修ニーズを明らかにした。

    結果・結論:混合研究法の自己評価の高・中・低群の学修ニーズが、本人の研究全般に関わる特性と時々の混合研究法受容に関する時代的変化に基づく学修環境の違いと相まって異なることが浮き彫りになった。

feedback
Top