2025 年 4 巻 1 号 p. 366-381
本稿では、ベイズ統計学の認識論と方法論を統合した新たな混合研究法を提案する。量的研究、質的研究、ベイズ統計学における研究パラダイムを再整理すると、量的研究は演繹による仮説検定(セオリー・ドリブン)、質的研究はアブダクションによる仮説生成および質的帰納による自己点検(データ・インタラクティブ)、ベイズ統計学は量的帰納による仮説選抜(データ・ドリブン)とみなすことができる。本研究では、1)質的研究による研究プロジェクトのグランド・デザインとデータベースの構想、2)ベイズ統計学によるデータベースからの最も尤もらしいモデル(一般論)の生成および検討するべき仮説の絞り込み、3)量的研究による仮説検定を行い、結論をまとめる、4)得られた知見を研究プロジェクトの全体構想にフィードバックして再始動する、という新しい混合研究法を提案する。