海洋理工学会誌
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原著
”二流理論”を用いた海氷上積雪層中のマイクロ波放射伝播過程の解析
佐々木 保徳岩崎 杉紀中村 敏明角田 晋也中田 喜三郎
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2004 年 10 巻 2 号 p. 1-18

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抄録
本論文は,海氷上の積雪層内におけるマイクロ波放射の伝播過程に対し雪氷学的パラメーターが及ぼす影響を推定するための方法を議論している。議論はリモートセンシングにより正確な測定が可能な唯一の物理量である表面輝度温度の実測値に基づき行われている。6.7GHzと18.6GHzにおいて行ったマイクロ波測定では,海氷上の積雪層から放射されるマイクロ波は多重散乱効果のためほぼLambertian(すなわち等方性)であることがわかっている。そこで著者らは,この等方性放射が積雪層内全体にわたって生じていると仮定し,積雪層内を伝播するマイクロ波放射に対して積雪層が及ぼす効果の推定を行うため,P.KubelkaとC.Munkにより提案された“二流理論”を応用した。その結果,この理論から6.7GHzと18.6GHzにおける後方散乱,吸収,全消散などの係数値の推定ができた。さらに,これら の値を用いることにより,積雪層がマイクロ波の伝播過程に及ぼすすべての効果の推定も積雪層全体にわたり可能となった。
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