抄録
東北タイにおいて販売されている天候インデックス保険を対象として,保険金支払いのトリガーとなるインデックス値および農業被害が農家の世帯収入に及ぼす影響について評価した.東北タイ17県の3ヶ月積算降水量と米生産量の関係から,米生産量は6-8月降水量と最も正の相関が高い県が多かったが,実際に使用されている7-9月降水量を用いても相関は高くインデックス値は概ね妥当であると判断された.次に,雨季米の生産量変動と米価格の推移から各県・各年における被害額を求め,農家世帯収入に及ぼす影響を推定した結果,近年では被害割合は10%以下と小さかった.農家への世帯生計調査より,世帯収入の7割程度を農外収入が占めており農業収入の割合は比較的小さいこと,保険の適用頻度が5-10年に1回程度であり支払いに対して懐疑的であることが天候インデックス保険普及の阻害要因と考えられた.