自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
総説
唾液腺の自律神経支配 ―歴史的展望―
田村 直俊中里 良彦
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 56 巻 3 号 p. 155-161

詳細
抄録

Ludwig(1850)は副交感神経が唾液分泌を惹起することを発見した.Bernard(1858)が唾液腺の副交感神経性血管拡張線維を発見したが,Heidenhain(1872)は分泌線維と血管拡張線維は別の線維であると証明した.Heidenhain(1878),Langley(1878)が補助的な交感神経性唾液分泌線維を発見した.Eckhard(1869)が導管収縮線維(交感神経)を証明した.一方,Bernard(1862)らが記述した副交感神経切断後に生じる逆説的な唾液分泌(麻痺性分泌)については,Emmelinら(1950)が脱神経過敏で生じること,唾液腺の脱神経過敏は adrenaline・pilocarpineの双方に対して非特異的に生じることを解明した.唾液腺の複雑な自律神経支配を考慮すれば,同じく腺組織である汗腺の自律神経支配は過度に単純化されていると思われる.

著者関連情報
© 2019 日本自律神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top