自律神経
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Print ISSN : 0288-9250
シンポジウム3
脳内オレキシンによる消化管機能制御
奥村 利勝
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2019 年 56 巻 4 号 p. 233-235

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抄録

オレキシンは脳内でも外側視床下部の神経細胞でのみ産生される神経ペプチドである.我々はオレキシンの消化管機能に及ぼす影響を検討してきた.ラット脳室内にオレキシンAを投与すると胃酸分泌,胃運動,大腸運動や大腸進展刺激に対する内臓痛覚閾値を亢進させたが,腹腔内投与はこれらの機能に影響を与えなったので,オレキシンAは中枢神経に作用して,消化管運動や内臓痛覚閾値を亢進させる事が明らかになった.機能性消化管障害の病態の中核は消化管運動障害と内臓知覚過敏であり,オレキシンが中枢神経系に作用し消化管運動と内臓知覚に影響を及ぼすとの知見は,オレキシンが一元的に機能性消化管障害の病態に関与することを示唆する.

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© 2019 日本自律神経学会
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