体内酸素レベルの恒常性維持は,生体の生命維持に不可欠であるが,体内酸素レベルの恒常性維持には呼吸調節機構,特に低酸素ストレスに対する呼吸応答が重要な役割を果たしている.低酸素ストレスに対する呼吸応答の機序は,従来,低酸素センサーとしての末梢化学受容体,および下部脳幹内で呼吸リズム・パターン形成を担うニューロンの活動を中心に考えられてきた.一方で近年,グリア細胞,なかでもアストロサイトが,低酸素センサーとして働くなど低酸素呼吸応答においても重要な役割を担っていることが明らかにされてきている.本稿では低酸素ストレスに対する呼吸応答について,アストロサイトの役割に注目しつつ最近の報告を中心に述べる.