2020 年 57 巻 1 号 p. 36-38
気管支喘息(以下,喘息)は,遺伝的要因と環境要因の相互作用で誘導される免疫応答により繰り返される気道狭窄をきたす慢性炎症性疾患である.環境要因の1つである心理社会的ストレス(以下,ストレス)により増悪することから,心身相関の病態を有する呼吸器心身症の代表的疾患である.ストレスは,内分泌系,免疫系,自律神経系を介して喘息の病態形成に関与しているが,その分子病態についてはいまだに不明な点が多い.近年,ストレス耐性(レジリエンス)関連遺伝子のエピゲノム修飾を介した喘息病態形成機序が報告された.本稿では,呼吸器心身症としての喘息病態とレジリエンスとの関係,治療への応用の可能性などについて概説する.